臨床検査部

診療・各部門

臨床検査部について

臨床検査部

臨床検査部は、医師が患者様の症状把握、経過観察、診断、治療効果の判定のために行う様々の検査を担当する部署です。 医学の進歩と共に医療を取り巻く環境の変化で、検査の質(専門性、精度、迅速性、など)が重要視されるようになってきました。 そのためにスタッフである検査技師は、より高いレベルの技術を目指して、日々鍛錬と新しい知識の習得に励んでいます。当部は、大きく2部門 に分かれます。検体検査部門、生理検査部門です。それぞれの中で毎日担当者が入れ替わり検査を実施しています。誰かが急に休んでも補完できる体制を敷いて います。また、健診センターの生理検査は全女性技師が携わっていますし、バスによる出張健診は専門のチームで対応しています。

 検体検査部門は以下の5部門より構成されます。
一般検査部門、血液・凝固検査部門、生化学・免疫検査部門、細菌検査部門、輸血検査部門です。各部門とも、医師の診療をサポートする為に質の高い情報を提供しています。また、緊急検査にも対応していて24時間体制をとり、医療の最前線をサポートしています。
  平成24年2月、検査室の新棟移転に伴い生化学・免疫装置(アーキテクトci4100 2台)、尿定性半定量検査装置(US-3100Rplus)、便潜 血検査装置(OCセンサーDIANA)、輸血検査装置(オーソAUTO VUE Ultra),輸血管理システムBTD を導入しました。これにより、血液検査と生化学・免疫検査装置が2台ずつとなり機器のトラブルで検査がストップす ることが無くなりました。また、緊急性、正確性を要求される輸血検査と輸血血液管理を強化することができました。
 その他に外来採血と入院患者の採血を実施しています。外来採血室では毎日120名から150名の患者様の採血・採尿を行い、病棟では毎朝6時30分から各病室を回って採血を実施しています。
 今後も、検査部一丸となり『迅速かつ正確に!』をモットーに患者様の診療に役立つ質の高い医療の提供に努め、地域中核病院の一部門としてさらに内容の充実とサービス拡充に努めてまいります。

検査全体を通してのお願い

当院では採血・採尿や心電図など生理検査を始める前に、必ずお名前と生年月日を伺う事になっております。院内のあちこちで何度も聞かれてご面倒かとは思いますが、患者間違い防止の為に必要なことですのでご協力をお願い致します。

一般検査部門

尿や便、その他の体液などに混ざっている物質や細胞などを調べます。
尿と便の検査は検体を採取する際に患者様にとって一番侵襲の少ない検査です。

1.尿の主な検査

●尿蛋白:腎臓など尿路系の異常を調べます。
●尿 糖:糖尿病診断の第一歩となる検査です。
●尿ケトン:糖尿病や糖質飢餓などのときにできる物質です。
●尿ビリルビン、尿ウロビリノーゲン:肝臓や胆道の異常を調べます。
●尿潜血:腎臓など尿路系の異常または出血の有無を調べます。
●尿比重:尿の濃さで腎臓の異常を調べます。
●尿沈査:尿中の細胞などを顕微鏡でみることで、腎臓など尿路系だけでなくいろいろな病気の診断に役立つ検査です。

2.便の主な検査

●便潜血反応:消化管からの出血があるかどうかがわかります。
●寄生虫卵検査:寄生虫に感染していないかを調べます。

3.その他の検査

●精液検査:精液の量や濃度、精子数、運動率、その他細胞や染色率などを調べることにより、不妊症治療の第一歩となります。
●腹水、胸水、関節液、髄液、胃液、胆汁などの性状、成分や含まれる細胞を調べます。

血液・凝固検査部門

血液中の赤血球、白血球の数や血球(血液細胞)の性状により、貧血、白血病、炎症疾患などの有無、 また血液が血管中で固まったり、出血が止まらなくなった状態を見る凝固機能検査を行っています。

生化学・免疫検査部門

この部門は、肝臓、腎臓、膵臓、心臓等の機能を見る生化学検査、肝炎ウイルス及び梅毒などの感染症に関する免疫血清学検査と呼ばれる検査です。具体的には、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどの肝、胆道酵素検査、尿素窒素やクレアチニンなどの腎機能検査などがあります。 他には、血糖やヘモグロビンA1c(HbA1c)、また、コレステロールや中性脂肪(TG:トリグリセライド)、 HDLコレステロール(善玉コレステロール)やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)などを調べています。 当部門では、最新の検査機器、システムを導入しすべての分野において24時間緊急体制に対応しています。

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乳び血清
血液の上澄みが白濁しています。

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生化学分析装置

生理検査部門

生理検査には大きく分けて循環機能検査、呼吸機能検査、神経筋機能検査、超音波検査があります。

循環機能検査

心電図検査

 心臓が動くときに発生するわずかな電気信号を、両手足と胸に電極を付けて拾いあげ、目に見える波形として記録します。 主に、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心筋障害、心臓肥大などの診断に役立ちます。
 安静時心電図のほかに、2段の階段を一定時間昇り降りして心電図の変化を調べる『マスター2階段負荷試験』があり、 安静時心電図には異常が現れにくい場合がある虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)の診断に有用です。
 そのほか、日常生活をしながら24時間の心電図を小型の装置で記録する『ホルター心電図』があり、不整脈、 虚血性心疾患の検出、薬剤の効果判定、ペースメーカーの機能評価などに有用です。

●検査方法(安静時心電図検査)
・大きく胸と手首、足首がでるようにしてベッドに寝ます。
・手足と胸に10箇所電極を取り付けます。
・体の力を抜いて楽にしていて下さい。
・2~3分で記録は終了します。
・電極を取り外して終了です。

●検査時の注意点・お願い
・きれいな記録をするために、息を止めてもらったり、電極をつけかえたりすることがありますが、技師の指示に従ってください。
・時計など貴金属はつけたままで検査可能です。(場合によっては外していただくこともございます、技師の指示に従ってください。)
・薄手の綿シャツ(下着)は来たままでかまいません。
・セーター等の静電気が起こりやすい衣類は記録の支障になりますので脱いでいただくようお願いいたします。
・痛みのまったくない検査です。体に力が入っていると筋電図としてノイズが混入し記録がうまくいかないことがあるので、体の力を抜き楽にしていて下さい。

ABI・PWV検査

両手、両足の血圧を測り動脈硬化の有無を判定する検査です。
両肘と両足首に血圧を測るときのカフを巻いて検査します。
検査中は体の力を抜いて楽にしていて下さい。

呼吸機能検査

スパイロメーターという装置で吐く息の速さや量を測定し、レントゲン写真では分からない肺の働きを調べます。 肺気腫、気管支喘息、気管支拡張など慢性呼吸器疾患の診断に有用です。

神経筋機能検査

末梢神経伝導速度

手足のしびれなどの原因が、末梢神経の異常によるものなのか、またその異常の場所や程度を調べる検査です。

 ※脳波検査は中止しました。

超音波検査

超音波検査

超音波は、音波の中でも人間の耳に聞こえない高い周波数(3MHz~10MHz)の音波を利用して臓器の動きや内部の様子をリアルタイムで見ることができ る数少ない検査です。超音波はX線検査、RI検査の様に放射線の影響を受けないこと、造影剤を用いなくても体の内部の様子がわかるということで、妊婦、乳幼児でも安心して受けていただけます。また痛みもありません。

 心臓超音波検査

この検査では、心臓の大きさ、形、心臓の壁の厚さ、動き方などがわかります。病気としては、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症、先天性心疾患などの診断に有用です。その他、様々の心臓病の診断、重症度の評価、治療効果の判定、脳梗塞の原因検索など幅広い目的で検査されます。検査時間は15分から30分くらいです。

腹部超音波検査

肝臓、胆嚢、胆管、腎臓、脾臓、膵臓などの各臓器の形や大きさ、また様々な疾患(腫瘍など)を見つける検査です。

●検査方法
・お腹が見えるようにして、ベッドに寝て検査を行います。
・ゼリーを塗り、超音波を当ててお腹の中を観察します。
・きれいな記録をするために、検査を行う技師(または医師)の指示に従って 息を吸ったり、吐いたり、止めたりします。

● 検査時の注意点・お願い
・およそ15分の検査時間です。
・当日の朝ご飯は食べないようにして下さい。
(胆嚢が胆汁を出すために萎縮し、胆嚢の評価が困難になったり、胃の中に食べ物が入ることで、胃の裏にある膵臓が観察しにくくなることがあります。大量に飲み物を飲むことも同様に控えていただけるようにお願い致します。どうしても喉が渇いた場合は、口の中が潤う程度の水、お茶をお飲みください。)
検査時に痛いところや、気になることがあれば遠慮なく申し出てください。

超音波検査画像

●腹部超音波・各臓器と主な疾患
<肝臓>肝嚢胞、肝血管腫、肝炎、肝硬変、肝細胞癌、脂肪肝など
<胆嚢>胆石、胆嚢ポリープ、胆嚢癌、胆嚢炎など
<胆管>胆管結石、胆管癌など
<腎臓>腎嚢胞、腎結石、腎癌など
<膵臓>膵嚢胞、膵炎(急性、慢性)膵臓癌など
<脾臓>脾臓腫大など

⇐ 肝臓(脂肪肝)と右腎臓

頚動脈超音波検査

頚動脈超音波検査は、全身の動脈硬化の程度を表す一つの指標として、また頭蓋内虚血性病変の非侵襲的な原因検索の手段として行う検査です。
首の血管(頚動脈)を超音波で検査し、血管壁の厚さを測定したり、血管内に詰まりがないかどうかを見ます。

乳腺超音波検査

乳腺超音波検査では良性の乳腺症やしこりのようなものから、乳癌まで、早期に発見することが出来ます。

●検査方法
・初めに上半身の服・下着等お脱ぎ頂きます。
・ベッドに横になっていただき、専用のゼリーを塗ります。ゼリーは超音波の透りをよくするために使います。
・超音波を出す探触子(プローブ)を、乳房に当て動かしながら断面を画像に映し出し撮影して検査します。

●特徴
・痛みはまったくありません。
・手に触れない数ミリのしこりを見つけ出すことが出来ます。
・超音波を使用しているため、X線のような被爆はありません。
・乳腺組織の発達している40歳未満の方には特に適した検査です。
・検査は女性の臨床検査技師が対応いたします。

その他の超音波検査

・甲状腺超音波検査:甲状腺疾患の診断
・骨密度超音波検査:骨粗鬆症の診断
・下肢静脈超音波検査:当院で分娩される妊婦さん全員を対象としています。
・その他血管超音波検査:人工透析患者のシャント評価など
・産科胎児計測超音波検査:妊娠20週から26週の間に胎児の計測と経過観察を行います。
・産科 DVD記録超音波:検査とは別に胎児の様子を説明しながらDVDに記録してお渡しします。自費になります。

細菌検査部門

細菌検査室では「感染症」の起炎微生物の検出と同定検査(細菌名の決定)を行っています。 当院検査室では産婦人科のスクリーニングを中心に、妊婦さんの膣培養検査を実施して、 院内感染の原因菌でもあるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やB群レンサ球菌を検出し、 新生児の髄膜炎や敗血症、肺炎などを未然に防いで母子の安全な出産につながるようサポートを行っております。
そのほかにも細菌性膣症の原因菌になる、Gardnerella vaginalis(ガードネレラ・ヴァギナリス)やMobiluncus(モビルンカス)などの検出を行っています。

輸血検査部門

検査の内容は、血液型検査や輸血を実施する際の交差適合試験です。
夜間や休日も24時間安全に輸血が行えるように体制をとっております。また、手術の際は自己血輸血が実施できるよう採血の補助や血液の保管管理を行っています。

外来採血(採血・採尿室)

外来患者様の採尿、採血を外来看護師の協力を得ながら行っております。
1日約200名の採血をしていますが、常に患者様の気持ちになり、丁寧で心のこもった接遇と採血待ち時間短縮に日々努めています。平成24年2月の採血・採尿室稼動に伴い、採血待ち表示機を設置しました。受付してから採血するまで何人待つかが一目で分かるようになりました。ご自身の受付番号が最上段の3箇所の四角のなかに表示されたら、採血室の中にお入り下さい。

●注意点・お願い
・採血は、腕(肘)の静脈から行います。腕を出しやすい服装でおいでください。
・過去に採血中気分が悪くなったことがある方は事前に申し出てください。
・アルコール消毒を行いますので、アルコールが皮膚に合わない方は申し出てください。
・採血後は針を刺したところを5分間しっかりと圧迫してください。血が止まったように見えても、また出てくることがあります。
・採血をした当日の入浴はさしつかえありません。
・採血後、まれに針を刺したあたりが青くなったり腫れたりすることがありますが、ほとんどの場合しばらくすると和らぎます。

病棟採血

当院では、検査技師が早朝の病棟採血を行っております。(一部を除く)
入院患者様の採血管準備を前日に行い、各病棟に配布して翌日の採血に備えます。
毎朝(土・日・祝日を除く)6時30分より7時30分までの1時間、臨床検査技師12名(常勤)で20~30名の患者様の採血を看護師の協力を得て行っています。
検査技師が病棟採血業務に携わることで看護スタッフの負担を軽減し、よりよい看護業務が行えるようサポートしています。